ゆき過ぎた「匿名化社会」の進行をくい止めるすべはあるのか

朝日新聞07年6月18日「時事刻刻」より
個人情報保護法について提言をまとめる、国民生活審議会の個人情報保護部会は、「過剰反応」が市民生活に様々な弊害を生んでいる現状をめぐり、ぎりぎりまで議論が続いた。
個人情報の取り扱いをめぐっては04年以降、所轄官庁別に35種類のガイドラインをまとめた。特に「過剰反応」への対応として、06年2月には関係省庁が学校や地域での名簿作成の手続き、本人の同意なしでも個人情報を出せる具体例などを申し合わせたはずだったが、それぞれの現場への浸透は進んでいない。

今年1月鳥取市の小中学校では学校給食による集団食中毒の発生が夜になってあきらかになったが、連絡網を廃止していたため連絡に支障をきたした。校長は「個人情報保護の高まりの中で、あれもだめこれもだめ、となった。でも、やはり連絡網は必要だとわかった」と話す。
同法によると、学校や地域社会の緊急連絡網などは、掲載する本人の同意があれば作成、配布出来る。
行政や司法の場で、不都合な情報を隠すために同法を言い訳にする事例として、千葉市の小学校教諭が女性の下着を盗み懲戒免職になった事例をあげ、「個人情報保護法は罪を犯した人を守るための法律ではないはずです」との被害者の母親のコメントを掲載している。
「社会の匿名化」について専門家のコメントとして、慶応大学教授は「個人情報保護法には個人の安全やプライバシーを守る期待がかかっているが、人と人とがつながることでこそ得られる、社会の安全・安心を壊している面もある」指摘。「災害時の緊急連絡先も分からない、といった状況ではコミュニティーが壊れてしまう」と警告していることを紹介。

投稿者 文洋株式会社 : 2007年6月18日 15:08