災害弱者の名簿「地域と共有を」/厚生労働省通知

朝日新聞 2007年08月20日

 

新潟県中越沖地震で、お年寄りや障害者などの安否確認が迅速に行われなかったとして、厚生労働省が、災害時などに避難支援が必要な「要援護者」の名簿を民生委員などと共有できるような体制作りを全国の自治体に求める通知を出していたことが分かった。要援護者名簿をめぐっては、「個人情報保護」を理由に、各地で地域への提供を拒むケースが増えている。災害発生時の対応遅れなどに懸念が広まっていたことから、同省は条例の見直しなど積極的な取り組みを求めている。

 

通知は今月10日付で都道府県や指定市などに送付。災害時に要援護者の情報を地域と共有することが重要だとして、民生委員に必要な情報を提供することなどを求めた。個人情報への配慮から情報提供をためらう自治体が広がっていることから、第三者提供できるよう条例の規定を改正する必要性にも踏み込んだ。

 要援護者の名簿の整備や、災害の際の安否確認、避難をスムーズに行うための「避難支援計画」づくりは、04年の豪雨災害を機に内閣府が翌年の指針で自治体側に求めていた。しかし、総務省の昨年3月の調査では、要援護者の避難支援計画を作成している市区町村は、「年度内に作成予定」を含めて8.8%にすぎなかった。

 今回、10人のお年寄りが亡くなった新潟県柏崎市も、約6000人分の名簿を3月にまとめていたが、支援計画は未完成で、町内会や民生委員との情報共有はしていなかった。個人情報保護の観点から問題がある、との意見が同市役所内で出たためで、市内に住む一人暮らしの高齢者2672人のうち、7月16日の地震発生から3日間で連絡が取れたのは2割強。全員の安否が確認できたのは21日午後だった。

 同市民生委員児童委員協議会の近藤俊郎会長は「互いに顔見知りの地域は問題がなかったが、都市化が進んだ地域の状況はつかみきれなかった」という。

内閣府が、自治体に要援護者名簿や支援計画を作成するよう求めたのは05年。しかし、個人情報保護の流れを受け、希望者のみを対象とする「手あげ方式」の自治体が目立ち、対象者の1割程度しか把握出来なかった。 このため昨年の新指針で、福祉部局が持つ個人情報を本人の同意なく避難支援に使っても問題ないとの見解を示した。
投稿者 文洋株式会社 : 2007年8月20日 13:33