「火事を出さない、出させない」という火災への警戒心と、下町の結束力
08年1月12日付け朝日新聞記事に
弊社をご愛顧いただいている町会さんの活動が取り上げられています。
地元消防署管内昨年死者ゼロ
火の用心 浅草一丸
お年寄りに講座・婦人部巡回・子どもも拍子木
JR浅草橋駅近くの区民館で9日、お年寄り約80人が集まる新年会の前にミニ防火講座が開かれた。消防署員が延長コードの実物を見せながら「今日帰ったらコンセントをすべて確認して。タコ足配線は発火する恐れがある。来年の正月はないかもしれませんよ」と強調した。
講座は住民からの要望で実現し、参加した増田さんは「『火事を出すと七代たたる』と言われる。火元になったら住み続けられないから」と話していた。
浅草消防署が担当するのは台東区の南東2・5平方キロで、約2万世帯、4万人が暮らす。細い路地が多く、新旧の建物が入り交じる。
昨年1年間の火災件数は12件で、統計が残る戦後で最少だという。床や壁の表面が焦げる「購揖表面積」は14平方メートルあったが、床と壁、天井が立体的に燃えて機能を失ったと見なされる「焼損表面積」はゼロ。管内で19年ぶりの記録だという。
都内では丸の内消防著管内の焼損床面積もゼロだったが、「住宅密集地のゼロ」は際立っている。
全国的に火災原因の3分の1は放火とその疑いが占める中で、この地域は放火が少ないのが特徴だ。昨年は焼身自殺を図った1件が放火(自損)に数えられただけ。
この消防署の管内にある52町会・自治会で運営する浅草防火協会の小島婦人部長は「火を付けられにくい環境つくりを重視している」と話す。夜の見回りで燃えやすいごみが収集揚所に捨ててあるのを見つけた場合、翌朝の回収まで目につかない湯所に隠しておくという。
この見回りは、婦人部が担当して10月から年末まで行っているもので、最後の3日間は町会を挙げてパトロールする。子どもが参加できる町会では、小中学生が拍子木を打ち鳴らして楽しみながら歩くという。
町会ごとの取り組みもある。菊屋橋町会は、定価約1万円の住宅用火災警報器を共同購入し、割引価格の4千円で帝望者に分けている。1台分は町会が2千円の補助も出す。高齢者世帯には町会の青年部が設置に行くため、悪質な業者にだまされる心配もない。
柳橋町会は昨年11月、地元のベルモントホテルと災害時の協力協定を結んだ。ホテルの鈴木会長は「ホテルは夜中でもスタッフが2人はいる。地域の安心の助けになると思う」と話す。
島津町会長は「地域と消防署が密着しているから活動がうまくいく。ただ、新しい住民にどうやって関心を持ってもらうかが課題」と話す。
火事とけんかは江戸の華……と言われたのは昔の話。東京都台東区の浅草消防署管内で昨年1年間、死者ゼロ、焼損床面積ゼロを記録した。背景には「火事を出さない、出させない」という火災への警戒心と、下町の結束力があるようだ。
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